2009年11月

Mel Gibson and John Toll
Mel Gibson and John Toll

ブレイブハート15周年 プレスインタビュー概訳(11/20)

10月下旬の撮影オフ日、メルは宿泊してるニューヨークはソーホーのホテル地下にある試写室で、間もなく発売のブルーレイ版の鑑賞を終わって今か今かと待ち構える各国のジャーナリストの前に、当時の撮影監督であったジョン・トールを伴って現れた。質問は特にご当地であったスコットランドの記者が熱心でメルは時にたじたじとなりながらもジョークを交えて少しナーバス(私生活に関しては話したくないモードだったので)、でもご機嫌な雰囲気で質疑応答がなされたという。1995年の当時や、この映画に触発されたその後のスコットランドの動きが活発になった2000年の頃は、コメントを控えてたことも今回はじめて心のうちを話す。以下は簡単だがその答えの概要を。スコットランドのTVが収録したビデオが公開されてるのでそれも忘れずに。

 

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Premiere in Scotland 1995
Premiere in Scotland 1995

スコットランドでのプレミアにはほんとに驚いた。あんな歓迎は初めてだったからショックですらあった。ホテルから会場の城まで沿道は人、人、人。

(ものすごい数の人々と伝統的な雰囲気と女の子たちの絶叫に迎えられたことに関して)

ずいぶんぎりぎりまで主演を他人にやってもらうつもりでいたけど結局自分が演じるハメになった....他の映画で見て気に入ったジェイソン・パトリックを使いたかったんだが。はっきりいうとお偉方の圧力があった。観客は主人公の年齢なんか気にしない、だから客を呼べる知名度のある俳優にしろ、つまりメル・ギ ブソンを使え!まあ、少なくとも僕の膝はまだあの当時しわだらけじゃなかったな(笑)ウォレスは28歳かそこらで死んでる。僕はその時で10歳も彼より年をくってた....本当は僕じゃなかった方が伝承に近く描くことができたとは思う。

ウィリアム・ウォレスは....伝承によると映画で描いたのと比較にならないくらい実は野蛮で残酷なモンスターだった。あんなナイスガイじゃない。とにかくイングランド憎しで一人でも多く殺すのを好んでいた。殺し方もあんなもんじゃない。映画ではいい奴と悪い奴をはっきりさせる必要があったので、ああいう風にやわらげた。さらにロマンチックにもした。それがハリウッド流のストーリーテリングだからね。だから歴史家があの映画は史実に照らし合わせると間違いがあると言ったことには反対しない。

映画では出さなかったが、ずいぶん暴力的で残酷な場面を撮った。実は編集室でカットしていったそれらを当時の僕のアシスタントがつないでギャグ・リールを作ったんだ。ごていねいにジュリー・アンドリュース歌うところの"My Favorite Things"をつけてね。世にも醜悪なぞっとするおぞましいフィルムができたよ(笑)

Mel talks of acting
Mel talks of acting

ある人たちは正確に描かないことに関して僕に罪悪感を感じてほしいようだが。確かに歴史上に存在したインパクトある一人の男なんだが、彼の後にくっついて記録を 取った人間がいない以上、伝承と創作の間を行き来して映画としてつくりあげなくちゃいけない。あれでもウォレスがどこでどの時代にどんな状態で生きて死んだかという史実の部分は充分伝わっただろう。

演技とは実際なんなのか未だに掴めていない。そういう意味もあって、そして人は年を取ると考え方も変わる ー しばらく演技から離れていたが、今は少し演技に関しての感覚が以前と違うと感じてる。だから自分にできるベストな仕事をこれからも続けるだろうが、それは以前と同じものじゃないだろう。いつか答えがわかるかもしれないが、今は男の更年期ってやつでね、こういうのもきっとものの感じ方や考え方に影響を与えるんだろう。

(久しぶりにカメラの前に立った感想をきかれて)


あの映画はスコットランドの人々の心の琴線を打ったと思う。あらゆる文化において、それがどこから来たかに関わらず、人は自己の依って立つものを探し求め世界に示そうと行動を起こす。もし何かきっかけがあって感じるものがあったら、それは大きな影響を与える。この映画がそれに当たるか...たぶんこんなささやかな一片の映像芸術ですら、何かを変えることができるんだってわかった。坂を転がるボールの最初の一押しになるかもしれないと。

(公開後、スコットランドに独立の気運が高まり、結果的にイギリスからの自治権を得て独立した議会を設置するまでに及んだ一連の現象に関して。メルは当時政治的なことだとしてコメントを公けにするのを控えていた)

 

あの後、スコットランドに行った事はあるかって? 実はないんだ...なぜなら行ったが最後、二度と帰って来れない気がして...だって絶対酔っぱらっちゃうからね。怖くて行けないよ!

(会場大笑い。実際には私的には訪ねている。自分の酒癖と名だたるモルトウイスキーにひっかけたジョーク)

See video : Mel talks Braveheart (stv.tv)

 

"The Beaver" 撮影風景第3弾アップ(11/19)

The Beaverの撮影は3ヶ月目に入り、寒くなってきたニューヨークで順調に進んでいる。この間にメルは彼自身の第8子の誕生を迎えたり(待望の女の子でLucia Annと命名。10月30日)、撮影がオフの時はマンハッタンに出て芝居や食事を楽しんだりと充実した時間を過ごしているようだ。クランクアップの正式な日は不明だが、おそらく今月いっぱいメルはニューヨークにいるだろう。以下は10月にスナップされた撮影風景。

(画像クリックで大きな画像がスライドショー風に見られる)

Tom Hardy will be new Max?
Tom Hardy / Charlise Theron

 マッドマックス4作目キャスト決まりか? 来年夏撮影開始(11/19) 

もうかれこれ10年にはなるだろうか。マッドマックス新作の噂が出ては消え、また出てくる...という現象が続いてるのは。でも今度こそ本物みたい。Mad Max : Fury Roadは来年の夏をめどにゆかりの地オーストラリアの内陸部で撮影を始めるというプランが進行中。アフリカとかじゃなくあの地で再び、なのだ。シドニーのFoxスタジオ内に製作本部が設置され、ワーナーが配給というのもきまったようだ。 で、肝心のマックスなんだが予想されるように、もはやメルじゃないことはほぼ確実だろう。残念ながらあまりに年月が経ちすぎて無理だろうから。 

メルはつい最近NYでのあるインタビューで「第4作の企画が進行中なのは確かだよ。この前ジョージ(ミラー監督)から電話があっていろいろ歓談した。僕がマックス? いやそれはない...」と言ってる。しかし今のところミラー監督もそしてメル自身も出演自体を完全に否定してないのだ。つまりカメオ出演とか、助演で悪党役をやるとか(^^)。熱心なマッドマックスファンたちはどんな役でもメルがまたあの独特な映像空間に出てくれれば、と望んでいる。と同時に当然「新しいマックスには誰が?」 

メル=マックスのインパクトはおいそれと忘れられるものじゃない。メルに代わるマックス選びが一番難航したらしい。今までも故ヒース・レジャー、コリン・ファレル、サム・ワーシントン、ジェレミー・レナーなど幾人か噂に出たが、今回かなり信じられるキャステイングがまだ非公式ながらメディアに上った。 

イギリスの新進俳優トム・ハーディTom Hardy("Inception"、 "Bronson"など)。写真を見ればわかるがいい線行ってるんじゃないだろうか。現在交渉中とのこと。そして...シャリーズ・セロンが共演だと! こっちはほぼ決まり。これで今のところ詳細に関してはだんまりを決め込んでいるミラー監督が来年サプライズを見せてくれたら....カメオでもいい! 

関連記事:若くてタフなマックスが必要(eiga.com)  

追加のつぶやき....2003年頃か、アフリカのナミビアを撮影地としてメル=マックスも視野に入れて撮影準備にとりかかろうとしていたが、イラク戦争のせいで取りやめざるを得なかった。あの時ミラー監督はこういったもんだ。「メルが出ないMad Maxを誰が見るんだい?」今でも本心はそうだろうと思いたい。Edge Of Darknessのポスターのメルなんぞを見たら、まだまだマックスやってもおかしくないと思ったもの。 

ただ、まだストーリーの詳細は不明ながら、ミラー監督の脚本の最終稿、噂では85年の第3作マッドマックス3のすぐ後が時代的設定らしい。ということはあの時のメルは28か29歳頃。やはり新作は30代の俳優でなくては無理かなというところが現実か。でも上記トム・ハーディ、いろいろ見てくるとルックスも悪くないし、フム、いいマックスになるかもしれないと思うようになってきた。

Mel on the COVER

BRAVEHEART

Happy 15th Anniversary

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Variety, USA 1995
Variety, USA 1995

新しい年を迎えた。2010年。皆様におかれてもさらに良き年になりますよう。

日付けは1月2日になってるが、もう3日。1月3日と言えばメル・ギブソンの誕生日。「おめでとう、メル!」のついでに毎年この日に新年のご挨拶をしてる(^^)。

 

メル・ギブソンのファンサイトを運営する私にとっては、今年は楽しみが多い。公開を控えた2本の主演映画、監督するのが決まってるもの1本、春頃開始の主演作1本と久方ぶりに映画人メルがおおいに動く。できるだけ追っていきたいと思うが、また今年はたった4ページから初めた本サイトの10周年、さらにWhat Women Want 「ハート・オブ・ウーマン」のロスアンジェルスプレミアに幸運にも参加でき、幸運にも生身のメルギブソンに会えた記念すべき出来事の10周年も迎える。

10周年?! なんてこと、紀行文はそのうち書きます...などと言いつつ忙しさにかまけ、さぼってたら10年! 最近ひとしお思う。地球の自転が実は密かに速くなってるんじゃないかと....大昔古代マヤ人が予言してたのはこの事じゃないかと。しかし嘆いても仕方ない。自転は停まってくれないだろうし、やることはいっぱい。せめて10周年記念として上記プレミア紀行文でもアップしよう。

 

さて去年の暮れ続けてジャンルは同じ恋愛ドラマになるだろうが、全く毛色の違う2本を観た。ひとつは鑑賞券を得て久しぶりの劇場でロードショウとして、サンドラ・ブロック主演The Proposal「あなたは私の婿になる」を楽しんだ。

S・ブロックは好きな女優の一人だ。いったい美人なのかセクシーなのかよくわからない雰囲気が気に入ってる。コメディでは笑わせてくれるし、筋肉質に近い体つきに見えるがグラマラスなのもいい。

やり手のカナダ人キャリアウーマンがヴィザの更新ができないため、とっさに部下の若い男との偽装結婚を思いつき、彼の実家に行くはめになりドタバタが始まる。大都会シカゴからおおらかなアラスカに行くくだりは傑作。そこに行って部下の実家が土地の素封家でお屋敷のような家を見て驚くブロックの演技も最高。

しばらく見ればもう結末は推して知るべし。アメリカのロマンチック・コメディなら複雑な筋立てなし、不幸な結末なし、スピーディな演技とファニーな台詞、一人か二人の意地悪な妨害役...と約束通りの展開で、それでもブロックのうまいコメディエンヌぶりがおおいに笑いを誘い、ハンサムな相方、ライアン・レイノルズがちょっとすっとぼけた人のいい役回りで、あれよあれよと言う間に二人は本物の恋に陥る。ところでこのレイノルズ、確かにいわゆるイケメンで日本の女の子好みのように感じられたが、残念、私の好みじゃない。40歳くらいになったらどうかな。

安心して座席に身を預けられる映画の典型だ。問題提起や意識を刺激される事もあまりない。単純に楽しむ映画。この手の映画はアメリカならではだろう。アメリカの観客のためのアメリカ的ロマンスもの。以下に書くフランスの恋愛映画なんてきっとアメリカじゃはやらないだろう。

 

1962年フランス/イタリア合作 Le Repos Du Gerriere 「戦士の休息」。すでに別れてはいたが、妻だったブリジット・バルドーを主演に迎えたロジェ・バディム監督作品。同じ恋に陥っていく男女を描いてもこうも違うのかとあらためてフランス映画の妙を見せつけられた思い。この映画は昔一度劇場で見て、BB(ベベ)のふくれっ面の愛らしさにうっとりし、音楽の美しさに魅了されたのを覚えてて、今回ふと思い出しレンタルしたのだが、当時「戦士の休息」(原題通りの訳)と言うタイトルの意味するところが当時よくわからなかった。

偶然に出会った男に惹かれ一緒に暮らし始めるが、この男が何か病理的な暗さを持ち、不実なのだ。フランス映画、特に恋愛ものはアメリカの言ってみればわかりやすく結末まで読めてしまうようなプロットの作りよりも、なぜだかわざわざこちらをイライラさせるような演出や脚本になってる事が多い。実はそういうところも含めてフランス映画が好きなのだが、アメリカ的ストーリー展開に慣れてしまうと、とても不自然に感じられるかもしれない。

しかし実際の男女の心の機微とは単純なものではないし、はたからみれば不自然な行動や言動がつきものだ。この映画もそういう意味では単純でなく自然でない。つまり二人は知ってか知らずか心理的駆け引きをしてるのだ。駆け引きというより戦い。男が勝ってるように見えてその実、最後に笑うのは女。イタリアの廃墟の中で最後にBBにすがりついて愛を乞う男に対し、長い金髪を風になびかせ泰然と微笑むあのラストシーンがまさに戦い終えた戦士の休息なんだろう。つまり休息であってまだ戦いは続く...と匂わせる。男女の心の機微は尽きない。

2つの全く毛色の違う恋愛映画を見終わって、2つともそれなりに楽しめるが、私にとって心に残り、刺激を受け、女主人公になった妄想を楽しめるのは古くても不自然でも「戦士の休息」のようなフランス映画だなとあらためて認識した次第。

 


 

Last updated 10/23,2015

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