The Passion Official Press Conference 公式記者会見

ローマ、チネチッタ撮影所フェリーニの間で/Sept. 20, 2002

Mel Gibson w/ Rosalinda Celentano

Q: Passionは一言で言うとどんな映画ですか?
Mel: このバージョンはもっとも可能な限り僕の考えてる真実に近いものになるだろう。アイデア自体は10年前にひらめいてベンジャミン・フィッツジェラルド(註:今のところどんな人か不明)と一緒にスクリプトを書いた。

 

Q: なぜ最後の12時間だけを?
M: その生涯でもっとも描くのが難しく、だが最も重要なところだ。今まで多くのイエスの話を描いた映画を見たがどれ一つ、その場面に関して満足したものはなかった。僕にとってはそれらは望遠鏡の向こう側から覗いてるようなものだった。いくつかはイエスの外見の表現そのものに不満だったし、幾つかは結果に納得できなかった。それらを解消するために挑戦してみようと.....きっと傲慢だと言うだろうね。そう僕は傲慢なんだ、実は!(一同笑)

 

Q: パゾリーニの「奇跡の丘」(原題「マタイによる福音書」)は知ってますね?
M: ああもちろん。かなり好きな映画だ。荒削りだと感じたがマタイが書いたイエスの全生涯をうまく表している。僕の場合はルカ、ヨハネ、マルコ、マタイの全部の福音書が伝えたのを元にして最後の12時間だけを作る。

 

Q:「最後の誘惑」は?
M: 実はマ-ティン(スコセッシ監督)は僕に主演を依頼してきたんだが断った.....今言えるのは.....音楽が抜群にすばらしかった。

 

Q: オーケイ。あなたの作品に戻りましょう。どんな映画になるんですか?
M: 見て非常に分りやすい視覚的な...つまりこうなんだ。言葉は今は使われてないものを使用する。ラテン語とアラム語。このアイデアが映像といっしょなら知覚できる事を願ってるんだ。また役者にとってはかつてないユニークな体験になるだろう。とても個人的な、さらにイエスに近づくための今まで欠けていた部分を得られる。
フラッシュバックを使ってイエスの両面、神性と人間性を表すんだが比重はほとんど人間性を描く事にかける。

 

Q: 神を信じますか?
M: 何か大きな人智を超えた至高の存在を強く信じている。

 

Q: 撮影地にイタリアを選んだ理由は?
M: ここには優秀な才能や材料がいっぱいあるからね(笑)それに何と言ってもここはすばらしい....一緒にいられるように家族の半分をこっちに移したんだ。すでにこどものためにローマの学校の入学手続きをすませた.....イタリア語を覚えてくれないかと願ってる。

 

Q: モニカ・ベルッチやセルジオ・ルビーニといったイタリア人俳優に接触したと聞きましたが?
M: うん、二人と話はした。まだ確認は取れてない....できたら....モニカはマグダラのマリアがやれると思ってる。ルビーニにはあの泥棒の役をやってもらえたらと.....ロザリンダ・チェレンターノ(上の写真)は確実に出演が決まった...とても美人で、彼女はね、驚くなかれサタンを演じるんだ。

 

Q: なんと...野心的で途方もない企画だ......
M: でもほんとのことだ....誇大妄想狂のたわごとに聞こえるかも知れないけどね.....完全に僕の製作会社の資本でやる。馴染みのない言葉を使い、字幕なし。アメリカで配給会社を見つけるのは簡単じゃない事は承知だ....僕の頭が狂ったと思うだろうな...たぶんそうなんだろう(笑)

 

Q: 観客は難しいことばにも関わらずこの映画は理解できると?
M: うん理解するはずだ....もしそうならそれだけで僕の仕事は成功した事になる...だめなら妥協して字幕は入れるかも...(笑)■

 

以下9/20日時点で発表されたクレジット:

 

タイトル:The Passion
監督:メル・ギブソン
脚本:ベンジャミン・フィッツジェラルド、メル・ギブソン
主題: "The Dolorous Passion of our Lord Jesus Christ" by Anne Catherine Emmerich; "The City of God" by Mary of Agreda; 及びルカ、マタイ、マルコ、ヨハネの各福音書からひらめきを得て。
美術:フランチェスコ・フリジェリ
衣装:マウリツィオ・ミレノッティ
プロデュース:メル・ギブソン、ブルース・デイヴィ、スティーヴン・マクエヴィーティ、マ-キス・フィルム(ロンドン)
出演:ジェイムズ・カヴィーゼル、ロザリンダ・チェレンターノ

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Variety, USA 1995
Variety, USA 1995

新しい年を迎えた。2010年。皆様におかれてもさらに良き年になりますよう。

日付けは1月2日になってるが、もう3日。1月3日と言えばメル・ギブソンの誕生日。「おめでとう、メル!」のついでに毎年この日に新年のご挨拶をしてる(^^)。

 

メル・ギブソンのファンサイトを運営する私にとっては、今年は楽しみが多い。公開を控えた2本の主演映画、監督するのが決まってるもの1本、春頃開始の主演作1本と久方ぶりに映画人メルがおおいに動く。できるだけ追っていきたいと思うが、また今年はたった4ページから初めた本サイトの10周年、さらにWhat Women Want 「ハート・オブ・ウーマン」のロスアンジェルスプレミアに幸運にも参加でき、幸運にも生身のメルギブソンに会えた記念すべき出来事の10周年も迎える。

10周年?! なんてこと、紀行文はそのうち書きます...などと言いつつ忙しさにかまけ、さぼってたら10年! 最近ひとしお思う。地球の自転が実は密かに速くなってるんじゃないかと....大昔古代マヤ人が予言してたのはこの事じゃないかと。しかし嘆いても仕方ない。自転は停まってくれないだろうし、やることはいっぱい。せめて10周年記念として上記プレミア紀行文でもアップしよう。

 

さて去年の暮れ続けてジャンルは同じ恋愛ドラマになるだろうが、全く毛色の違う2本を観た。ひとつは鑑賞券を得て久しぶりの劇場でロードショウとして、サンドラ・ブロック主演The Proposal「あなたは私の婿になる」を楽しんだ。

S・ブロックは好きな女優の一人だ。いったい美人なのかセクシーなのかよくわからない雰囲気が気に入ってる。コメディでは笑わせてくれるし、筋肉質に近い体つきに見えるがグラマラスなのもいい。

やり手のカナダ人キャリアウーマンがヴィザの更新ができないため、とっさに部下の若い男との偽装結婚を思いつき、彼の実家に行くはめになりドタバタが始まる。大都会シカゴからおおらかなアラスカに行くくだりは傑作。そこに行って部下の実家が土地の素封家でお屋敷のような家を見て驚くブロックの演技も最高。

しばらく見ればもう結末は推して知るべし。アメリカのロマンチック・コメディなら複雑な筋立てなし、不幸な結末なし、スピーディな演技とファニーな台詞、一人か二人の意地悪な妨害役...と約束通りの展開で、それでもブロックのうまいコメディエンヌぶりがおおいに笑いを誘い、ハンサムな相方、ライアン・レイノルズがちょっとすっとぼけた人のいい役回りで、あれよあれよと言う間に二人は本物の恋に陥る。ところでこのレイノルズ、確かにいわゆるイケメンで日本の女の子好みのように感じられたが、残念、私の好みじゃない。40歳くらいになったらどうかな。

安心して座席に身を預けられる映画の典型だ。問題提起や意識を刺激される事もあまりない。単純に楽しむ映画。この手の映画はアメリカならではだろう。アメリカの観客のためのアメリカ的ロマンスもの。以下に書くフランスの恋愛映画なんてきっとアメリカじゃはやらないだろう。

 

1962年フランス/イタリア合作 Le Repos Du Gerriere 「戦士の休息」。すでに別れてはいたが、妻だったブリジット・バルドーを主演に迎えたロジェ・バディム監督作品。同じ恋に陥っていく男女を描いてもこうも違うのかとあらためてフランス映画の妙を見せつけられた思い。この映画は昔一度劇場で見て、BB(ベベ)のふくれっ面の愛らしさにうっとりし、音楽の美しさに魅了されたのを覚えてて、今回ふと思い出しレンタルしたのだが、当時「戦士の休息」(原題通りの訳)と言うタイトルの意味するところが当時よくわからなかった。

偶然に出会った男に惹かれ一緒に暮らし始めるが、この男が何か病理的な暗さを持ち、不実なのだ。フランス映画、特に恋愛ものはアメリカの言ってみればわかりやすく結末まで読めてしまうようなプロットの作りよりも、なぜだかわざわざこちらをイライラさせるような演出や脚本になってる事が多い。実はそういうところも含めてフランス映画が好きなのだが、アメリカ的ストーリー展開に慣れてしまうと、とても不自然に感じられるかもしれない。

しかし実際の男女の心の機微とは単純なものではないし、はたからみれば不自然な行動や言動がつきものだ。この映画もそういう意味では単純でなく自然でない。つまり二人は知ってか知らずか心理的駆け引きをしてるのだ。駆け引きというより戦い。男が勝ってるように見えてその実、最後に笑うのは女。イタリアの廃墟の中で最後にBBにすがりついて愛を乞う男に対し、長い金髪を風になびかせ泰然と微笑むあのラストシーンがまさに戦い終えた戦士の休息なんだろう。つまり休息であってまだ戦いは続く...と匂わせる。男女の心の機微は尽きない。

2つの全く毛色の違う恋愛映画を見終わって、2つともそれなりに楽しめるが、私にとって心に残り、刺激を受け、女主人公になった妄想を楽しめるのは古くても不自然でも「戦士の休息」のようなフランス映画だなとあらためて認識した次第。

 


 

Last updated 10/23,2015

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