Passion News Archives #2(2002年11月前半)

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11/15 2002 
昨日は最後の晩餐の場面が撮影されたという。たぶん今日あたりエルサレムの市場のセットにカメラが入るんではと思う。3つの大きな十字架がマテ-ラの高台に据え付けられている。撮影はしてない。彼らはゴルゴタの丘にふさわしいロケーションを今見つけているところだ。 

珍しく町でメルの姿を見たと言う報告がいろんな人から。なぜなら彼はホテルを引っ越しするために移動してたからだ。 ヴィア・ローマ・ホテルからもっとセットへのアクセスが楽な アルヴェルゴ・イタリア・ホテルへ。ホテル前は人だかりがすごい。

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さてここでの撮影は天気次第だが一応20日までと言う事だ。 ロビン夫人はほとんど毎日セットでメルのそばにいる。だがメルほどここでは顔を知られてないので普通に町を歩いていたりする。彼女は子供達がローマにいるためそっちにも行かねばならない。そういうわけで彼は夜は一人で夕食と言う事になる。子供達はローマの学校に入っている。12月になれば確実に撮影はローマに移るのでそれまで別居生活だと言うわけだ。

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ユダヤ総督ピラトの妻として起用されたクラウデイア・ジェリーニのミニ・インタビュー: 
「8月のある暑い日、キャスティング担当者からメル・ギブソンがあなたに会いたがってると電話を受けた...あの素敵な青い目と出会えるなんて!興奮したわ。ローマのホテルでアラム語のテキストを渡されてちょっと読んだわ。彼はシンプルな女優を求めてた。
ピラトの妻は史実としてははっきりしないけどマタイが福音書でその存在を伝えてるの...仕事は10日間だけでいい...もちろん承知したわ。そしてメルは私を選んでくれた! 小さな役だけど彼がこの女性を取り上げたと言う事に感激してる。メルのために役立てて嬉しい。ラテン語を修めていて良かった!(笑)」 

モニカ・ベルッチのダブル(代役)として起用されたマリア・ロザリア・リッツイのミニ・インタビュー: 
「メルはやはり根は俳優だと思う。カメラの後ろにいる俳優っていうのかな。しょっちゅういっしょに演技してるの。途切れなく。そしてしょっちゅう冗談を言ってる。もし彼が監督だと知らないで現場に行ったらきっと私は違う人のところに行ったでしょうね(笑)。 私の場合は6時に開始だったんだけど彼は誰よりも早くもうそこにいて待ってたわ。毎日きっとそうだと思う」 
「要求が厳しく、仕事に取りつかれてる面もある。でもそれは映画のために必要な事だと思う。そして彼は参加してる。シーンを常に率先してパントマイムで現わしてるの。体が勝手に動くって感じ。時には役者より先回りして演技してる。いいかえれば、彼は実際に私的に俳優としてもこの中にいると言う事。 彼がそうやる度にみんな感心して喝采してるわ(笑)。 メルは今エキストラにはメガホンでちゃんと通じるイタリア語で号令をかけている。そうやって彼らを鼓舞し感謝の気持ちを表してるの」 

11/11  2002 
メル、マテ-ラ市長ミケ-レ・ポルカ-リ氏と約30分ほど会見。その中でメルは、自分の映画が解釈によってはここの住人たちとの間でトラブルが起きるかもしれないと言う事に関して心配してたと言った。つまりイエスの最後だけを描くと言う事について理解が得られるかどうか。幸いそんな問題が起きる事なく敬意を持って迎えられた事、宗教的、地理的要求に対して友好的な雰囲気で快く協力を得られて撮影に入る事ができ皆に感謝してると述べた。
さらのこの町の歴史的芸術的遺産と町の美しさに圧倒されたとも。市長の方はこの映画がこの素晴らしい町の知名度がもっと広がるのに助けになってくれれば嬉しいと返答したと言う。 

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この2、3日はイエスが十字架を背負って処刑場へ引っ立てられるシーンが重点的に撮影されている。たくさんのエキストラたちが彼を罵ったり攻撃する。そんな中、年輩のエキストラたちの中には指示されたアラム語がどうしても話せないということがあった。すると監督メルはこう言ったと言う。「なら、あなたたちの方言を使ってくれ。イタリア人ですらきっと分からないはずだから」

正しい! イタリアはそれぞれの町が方言を持ってて他の町から来た人はそこの方言はチンプンカンプンなんだ。

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毎日メルは早起きだ。だいたい朝の4時には起きてて毎朝セットに行く前にフィットネスセンタ-で一汗流している。だからここは彼のためだけに4時に開けられる。そして5時には現場に入っている。
夕食は町の幾つかのレストランで取ってるが、メニューはいつも同じようだ:野菜、肉、魚。魚料理は典型的なものでオリーブ油で調理されたほうれん草付きのもの。彼は誰とも同席せず一人で食事をする。たいてい他の客に背を向け、他のキャストやクルーからも離れて。夕食時だけだ、彼が一人になるのは。
他の時間は彼はもっと友好的だ。仕事が終わると必ずエキストラたちと談笑し、いいムードを作っている。 エキストラたちによるとメルはとてもフレンドリーでちょっと変人っぽいという。しょっちゅうおかしな事をしてる。たとえ彼を知らなくてもすぐ気がつく。なぜならいちばんおかしな事をやってる人物を探せばいいからだ。そしていつも同じ通訳と一緒にいる。
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数日前、メルは地元のドン・アンジェロ司祭にラテン語でミサを取り持ってもらえるように頼んだ。司祭は今、司教からの許可を待っている。イタリアでももはやラテン語ではミサをやってないからだ。

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ニューヨーク・タイムズから記者が来て取材。イギリスからもサンデイ・ミラーがメルを追っている。
New York Times 記事(E)

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エルサレムのセットの大きな部分は出来上がってるが、彼らはさらにあちこちに椰子の木を植えた。圧巻は市場のセットだ。現在は人が住んでいないSassi地区の古い町並みをうまく活用してこまごまと小道具を加えそれっぽくなってきている。 母マリアの家も完成。みんなはあまりにもみごとな古代エルサレムの再現に目を見張る。

マテ-ラ中の住民はみな、主演のジム・カヴィーゼルの信仰の深さにびっくりしてる。毎日アンジェロ司祭の教会のミサに出かけ聖体拝領を受けているからだ。撮影中の休憩の時さえ彼の面ざしは憂いに満ちていて、静かで物思いに沈んでるかのようだ。完全にイエスに同化してるようだ。
休憩時、彼はたいていみんなから離れて主にアンジェロ司祭が話し相手だ。それ以外は彼はいつもロザリオ(数珠)を手に祈りを唱えている時が多い。 

ここで問題が持ち上がった。何かの手違いからかエキストラ用の更衣室やトイレの数が圧倒的に少ない事が判ったからだ。この季節にしては特に朝が冷え込んで長い時間、外であまり暖かい衣装とは言えないものをまとっている彼らが文句を言い始めた。また食事の量も少ないという。 この例外的な寒さを計算に入れなかった製作側はすぐに改善したらしい。
寒さ対策としては急きょエキストラ全員に暖かい毛の下着が配られた。
寒さのせいかどうか分からないが、着衣なしで行なわれる十字架刑の場面のためにイエスだけでなく一緒に磔される2人の囚人にもそれぞれ2人ずつ特に求められたスタントがついている。 

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これまでに撮影されたシーンの総括:
ユダの自殺シーン、イエスの少年時代のシーン、イエスが十字架を担って人々に罵られながら行進するシーン、十字架から降ろされ母マリアに抱かれるシーン。 

 

3つめのシーンではイエスだけでなく彼を助けようとしたマグダラのマリア(モニカ・ベルッチ)も共に人々から攻撃されるんだが、メルはここでエキストラにモニカを殴るよう演出していた。モニカといえば彼女は決してエキストラと会話せず撮影が終わるとすぐにホテルに帰っている。 

追記:上のシーンは正確にはイエスに手ぬぐいを渡したと伝えられるヴェロニカのことだと思う。

11/5  2002 
今日は初めて全員が集まっての撮影。イエスが十字架から降ろされ母マリアの腕に抱かれるシーンの2度目。エキストラとローマ兵がいっぱい。このシーンは13日まで継続して撮影される予定。 
(Carinyaよりーなおメルはこのクライマックスシーン撮影に先立っていわゆる告解conffessionと信仰の確認をするために、ある夜地元の神父の元をお忍びで訪れたと伝えられた。告解の内容はもちろん極秘だが神父がメルに非常に感銘を受けた様子がよくわかる。ちょっと宗教用語めいたのが多く何とか読めるが日本語にするのは大変。いつか載せられたらと思ってる)

11/4  2002 
公式の撮影開始日。スタッフはマテ-ラ郊外の国立自然公園内に設けた古代の人家のセットに集合。ここではイエスの少年時代が撮影される:大工である父ヨセフの仕事場など。そう、映画はイエスの最後の受難がメインだが彼はいろんなところで子供時代を回想するのだ。 
噂:母マリアが少年イエスに食事を与えるシーンとか、父と共に大工の仕事を楽しむといったシーンが撮影されたようで、確かに我々の手元にある台本にもあるんだが、実はこのようなシーンは4つの福音書のどこにもない...... 

11/3  2002 
メルが初めてマテ-ラの一般の住民たちと交流を持った。いろんな催しがあってメインのバレーボール試合に参加した際、彼はマテ-ラに感謝のスピーチを捧げ、先のイタリア中部大地震の被害者のためにいくばくか寄付。 すべてのスタッフとキャストは市内の4つ星ホテルに泊まっているためたいていの住民はめったにメルを見る事が出来ないのでこの日は大騒ぎだった。TVでも中継された。 

Italian actress Monica Belluci appears to the madding crowd of Matera, for Mel Gibson's The Passion.
Monica Bellucci at Matera

11/1  2002 
直前までブル-ス・ウィリスとの共演作に出ていたモニカ・ベルッチがこの日マテ-ラ入り。イタリアの宝石と言われる彼女の登場で町は騒然。彼女はそれを嫌ってか、出番以外はほとんどホテルにこもりっきり。あらゆるメディアとの会見もシャットアウト。ホテルの自室でアラム語の台詞のおさらいをして過ごすつもりだという。

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Mel on the COVER

BRAVEHEART

Happy 15th Anniversary

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Variety, USA 1995
Variety, USA 1995

新しい年を迎えた。2010年。皆様におかれてもさらに良き年になりますよう。

日付けは1月2日になってるが、もう3日。1月3日と言えばメル・ギブソンの誕生日。「おめでとう、メル!」のついでに毎年この日に新年のご挨拶をしてる(^^)。

 

メル・ギブソンのファンサイトを運営する私にとっては、今年は楽しみが多い。公開を控えた2本の主演映画、監督するのが決まってるもの1本、春頃開始の主演作1本と久方ぶりに映画人メルがおおいに動く。できるだけ追っていきたいと思うが、また今年はたった4ページから初めた本サイトの10周年、さらにWhat Women Want 「ハート・オブ・ウーマン」のロスアンジェルスプレミアに幸運にも参加でき、幸運にも生身のメルギブソンに会えた記念すべき出来事の10周年も迎える。

10周年?! なんてこと、紀行文はそのうち書きます...などと言いつつ忙しさにかまけ、さぼってたら10年! 最近ひとしお思う。地球の自転が実は密かに速くなってるんじゃないかと....大昔古代マヤ人が予言してたのはこの事じゃないかと。しかし嘆いても仕方ない。自転は停まってくれないだろうし、やることはいっぱい。せめて10周年記念として上記プレミア紀行文でもアップしよう。

 

さて去年の暮れ続けてジャンルは同じ恋愛ドラマになるだろうが、全く毛色の違う2本を観た。ひとつは鑑賞券を得て久しぶりの劇場でロードショウとして、サンドラ・ブロック主演The Proposal「あなたは私の婿になる」を楽しんだ。

S・ブロックは好きな女優の一人だ。いったい美人なのかセクシーなのかよくわからない雰囲気が気に入ってる。コメディでは笑わせてくれるし、筋肉質に近い体つきに見えるがグラマラスなのもいい。

やり手のカナダ人キャリアウーマンがヴィザの更新ができないため、とっさに部下の若い男との偽装結婚を思いつき、彼の実家に行くはめになりドタバタが始まる。大都会シカゴからおおらかなアラスカに行くくだりは傑作。そこに行って部下の実家が土地の素封家でお屋敷のような家を見て驚くブロックの演技も最高。

しばらく見ればもう結末は推して知るべし。アメリカのロマンチック・コメディなら複雑な筋立てなし、不幸な結末なし、スピーディな演技とファニーな台詞、一人か二人の意地悪な妨害役...と約束通りの展開で、それでもブロックのうまいコメディエンヌぶりがおおいに笑いを誘い、ハンサムな相方、ライアン・レイノルズがちょっとすっとぼけた人のいい役回りで、あれよあれよと言う間に二人は本物の恋に陥る。ところでこのレイノルズ、確かにいわゆるイケメンで日本の女の子好みのように感じられたが、残念、私の好みじゃない。40歳くらいになったらどうかな。

安心して座席に身を預けられる映画の典型だ。問題提起や意識を刺激される事もあまりない。単純に楽しむ映画。この手の映画はアメリカならではだろう。アメリカの観客のためのアメリカ的ロマンスもの。以下に書くフランスの恋愛映画なんてきっとアメリカじゃはやらないだろう。

 

1962年フランス/イタリア合作 Le Repos Du Gerriere 「戦士の休息」。すでに別れてはいたが、妻だったブリジット・バルドーを主演に迎えたロジェ・バディム監督作品。同じ恋に陥っていく男女を描いてもこうも違うのかとあらためてフランス映画の妙を見せつけられた思い。この映画は昔一度劇場で見て、BB(ベベ)のふくれっ面の愛らしさにうっとりし、音楽の美しさに魅了されたのを覚えてて、今回ふと思い出しレンタルしたのだが、当時「戦士の休息」(原題通りの訳)と言うタイトルの意味するところが当時よくわからなかった。

偶然に出会った男に惹かれ一緒に暮らし始めるが、この男が何か病理的な暗さを持ち、不実なのだ。フランス映画、特に恋愛ものはアメリカの言ってみればわかりやすく結末まで読めてしまうようなプロットの作りよりも、なぜだかわざわざこちらをイライラさせるような演出や脚本になってる事が多い。実はそういうところも含めてフランス映画が好きなのだが、アメリカ的ストーリー展開に慣れてしまうと、とても不自然に感じられるかもしれない。

しかし実際の男女の心の機微とは単純なものではないし、はたからみれば不自然な行動や言動がつきものだ。この映画もそういう意味では単純でなく自然でない。つまり二人は知ってか知らずか心理的駆け引きをしてるのだ。駆け引きというより戦い。男が勝ってるように見えてその実、最後に笑うのは女。イタリアの廃墟の中で最後にBBにすがりついて愛を乞う男に対し、長い金髪を風になびかせ泰然と微笑むあのラストシーンがまさに戦い終えた戦士の休息なんだろう。つまり休息であってまだ戦いは続く...と匂わせる。男女の心の機微は尽きない。

2つの全く毛色の違う恋愛映画を見終わって、2つともそれなりに楽しめるが、私にとって心に残り、刺激を受け、女主人公になった妄想を楽しめるのは古くても不自然でも「戦士の休息」のようなフランス映画だなとあらためて認識した次第。

 


 

Last updated 10/23,2015

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