CREDIT
監督....................メル・ギブソン
製作....................ブルース・デイヴィ/メル・ギブソン/アラン・ラッドJr
原作・脚本..........ランドル・ウォレス
撮影....................ジョン・トール A.S.C.
音楽...................ジェイムズ・ホーナー
美術...................トム・サンダース
編集...................スティーブン・ローゼンブラム
衣裳...................チャールズ・ノード
スタント監修......サイモン・クレーン/ミック・ロジャース
CAST
Mel Gibson..........................ウィリアム・ウォレス
James Robinson..................少年時代のウィリアム
Sean Lawlor........................ウィリアムの父マルコム
Sandy Nelson..................... ウィリアムの兄ジョン
Brendan Gleeson................幼なじみの友ハミッシュ
James Cosmo.....................キャンベル(ハミッシュの父)
Andrew Weir.......................少年時代のハミッシュ
Catherine McCormack.......ウィリアムの妻マロン
Sean McGinley..................マッククラノゥ(マロンの父)
Gerda Stevenson...............マロンの母
Mhairi Calvey.....................少女時代のマロン
Brian Cox...........................ウィリアムの叔父アーガイル
Angus Macfadyen............スコットランド貴族ロバート・ザ・ブルース
Ian Bannen.......................ロバート・ザ・ブルースの父
John Kavanagh................スコットランド貴族クレイグ
Alun Armstrong............... 同 モーネイ
Patrick McGoohan .........イングランド王エドワード1世
Peter Hanly.....................イングランド王子エドワード(イザベルの夫)
Sophie Marceau..............イザベル王女
Stephen Billington...........エドワード王子の側近フィリップ
Jeanne Marine................イザベルの側近ニコレット
Tommy Flanagan............ウィリアムの仲間モリソン
Julie Austin......................モリソンの花嫁ヘレン
Rupert Vansittart............花嫁を連れ去る貴族ボトムズ卿
Malcolm Tierney.............マロンを処刑するイングランド行政長官
Tam White......................ウィリアムに合流するクランの長マクレガー
Donal Gibson..................ウィリアムの仲間スチュワート
Jimmy Chisholm.............イングランド側のスパイ
David O'Hara...............アイルランド人スティーブン
John Murtagh...............スコットランド貴族ロクラン
David McKay................若いスコットランド兵士
Peter Mullan.................年季のいったスコットランド兵士
Martin Murphy.............イングランド軍司令官タルマッジ卿
Gerard McSorley......... 同 副官チェルサム
Bernard Horsfall..........スコットランド僣王ベイリオール
David Gant..................イングランド貴族裁判官
MINI STORY
時は13世紀終わり。長脛王の異名をとるエドワード1世治下のイングランドに征服されているスコットランド南部の小さな村。一組の結婚を祝う宴の最中、成長したウィリアムが帰還する。 幼なじみの友や愛するマロンとの再会を喜ぶも、花嫁はイングランドの横暴な貴族に連れ去られる。ウィリアムはマロンと極秘の結婚をするが、イングランド兵の怒りを買い、マロンは捕まり処刑されてしまう。憤怒を秘めてイングランド軍の砦を襲い、復讐を果たしたウィリアムのもとに、大勢の有志が集まり自由を求めての戦いの気運が高まった。
圧倒的な数の敵軍をスターリングで破ったウィリアムは、貴族から信頼を得てナイトに叙されるが、私利にまみれた貴族たちは立ち上がろうとしない。そんな中ひとり若いロバート・ザ・ブルースだけがウィリアムに同調する。次のフォルカークの戦いで裏切りに遭い敗走したウィリアムはゲリラ戦に打って出てチャンスを探るが、貴族たちとの会合に一人おもむいた先で、またもや奸計によって捕まり、ロンドンに送られる。いっさい慈悲や助命を乞わず、最後まで祖国の自由を貫き通した。
BACKGROUND サー・ウィリアム・ウォレスとその時代
ウォレスの伝えられる生年はまちまちだが(だいたい1270年から1275年の間)彼が20代後半の若さで兵を挙げた頃のスコットランドは、イングランド王エドワード1世によるかつてないほどに屈辱的な弾圧下にあった。それまでは無秩序な王位纂奪にあけくれ、他国に脅威をおよぼす程の力はなくとも839年のケニス1世から連なる400年の歴史を持っていたれっきとした王国だった。
1296年一つの王国としてのスコットランドは消滅。貴族たちはほぼ完全にエドワード王の意のままに表向きは一見平穏のうちにあったが、平民たちの間ではそれまでに育んだ愛国心をはるかに凌ぐ国民としての自覚が芽生えていたのである。
ウォレスはグラスゴーに近いレンフルーシャーの小さな村エルダースリーで生まれた。その前半生の詳しいことはよくわかっていない。言い伝え(たとえばBlind Harry's
"Wallace"など)では平民ではあるが父に倣い騎士としての道を歩むべく、幼少の頃から近くのペイズリー修道院で勉学に励む。彼が貴族でもないのに母国語の他に英、仏、ラテン語などを話し視野の広い眼を持っていた事はそれだけでも民衆を引き付ける要素だったはずだ。
それに加え早くから駐留イングランド軍に対し憎悪に近い反抗心を発揮して、北部を中心にはじめは小さな反抗の炎を挙げた時、それに同調した民衆たちが彼を英雄として祭り上げていったのはごく自然な動きだった。伝承によると、戦士としては戦略にすぐれ勇猛で残酷な面もあったが、リーダーシップにたけ、その教養を生かし祖国振興のため大陸との交流や貿易も見据えた地方行政官としても辣腕を振るった。
それでも彼に従ったのは、せいぜいが農具や短剣、小さな盾に貧弱な鎧といった装備の平民が主で、ほとんどが封建社会の外側にいた人々であり、かつてブリトン人、ピクト人、ゲール人が定住した反抗的な気風が強い地域の出身者で占められていた。ウォレスが初めに頼みとした大貴族たちは失うものが多かったため、眠れる獅子を起こされては困るとばかり息を潜めむしろウォレスの活動を迷惑がっていた。
この意味でウォレスは偉大な愛国者であると共に「変わり者」でもある。最終的にこれら貴族たちの裏切りにあってウォレスは1305年に30代の若さで処刑されるが、彼がその短い生涯で成した事はまさに"Everyman dies, not everyman really lives"という台詞にふさわしい。1297年のスターリングの勝利がもたらした意義は「栄光や富や名誉のためでなくただ自由のために」戦う事の価値を人々に植え付けた意味で大変大きい。
彼とともにスコットランドの英雄として並び称されるロバート・ブルースは映画でも描かれたように王位継承者の家柄のためその初期の行動には打算的なところがあったが、ウォレス亡き後はイングランドに抵抗して相当な苦労の末、1314年のバノックバーンの戦いで大勝して王位につき、1707年に再びイングランドに統合されるまでの独立王国の礎を築いた。
関連ページ :William Walace ウィキペディア
詳しく知りたい方、興味のある方はぜひ本も読んでみる事を薦めます。
参考図書:
「スコットランド王国史話」森 護/大修館書店
「とびきり哀しいスコットランド史」フランク・レンウィック/小林章夫 訳/筑摩書房
「スコットランド物語」ナイジェル・トランター/杉本 優 訳/大修館書店