Attack Force Z 特別奇襲戦隊Z (1981)

オーストラリア=台湾/アメリカ未公開/日本未公開/93分

(別名:"The Z Men")

 

CREDITS
監督........ティム・バーストール
製作........リー・ロビンソン
脚本........ロジャー・マーシャル
撮影........リン・ハン=チャン
編集........デヴィッド・スティーヴン
音楽........エリック・ジュップ
美術........バーナード・ハイズ

 

CAST
John Phillip Law.......ヤン・ヴェイチ中尉
Mel Gibson...............ポール・G・ケリー大尉
Sam Neill.................ダニー・コステロ軍曹
Chris Haywood.........バード上級水兵
John Waters............キング少尉
Coo Chuan-Hsiung.....リン・チャン=ラン
Sylvia Chang.............チェン・ホア
O Ti.........................ショウ・フー
Yi Yuan....................今中大尉
Lung Shuan...............渡辺少佐

 

 

MINI STORY
第2次大戦末期、日本軍占領下の台湾の沖合いにひっそりと潜水艦が浮上した。闇に乗じて上陸したのはケリー大尉をリーダーとする連合軍からの混成特殊部隊Zメンの5人。彼等の任務はここに墜落した飛行機から戦略上重要なある日本人生存者を連れ出す事だった。途中一人を失いながらも、レジスタンスのリンとその娘チェンホアの協力を得て生存者を収容するが、村は日本軍との熾烈な戦闘に巻き込まれてしまう。リンや仲間は撃たれてしまうがケリーは、何とか生存者をボートに乗せ脱出に成功。だがもう少しで潜水艦というところで気がつくと、命をかけて救い出した生存者も息絶えていた........

 

 

 

NOTES
この映画は難産だったようだ。当初決まっていた監督はオーストラリア出身、1978年に国際的評価を得た"Newsfront"や、後にアメリカへ渡り「パトリオットゲーム」等で有名なフィリップ・ノイスだったが、お決まりのスクリプト上の解釈をめぐって制作側とそりがあわず身を引いた。この事が俳優たち、特にメルに不満と動揺を与えた。彼はノイスを高く評価しており、すっかり意気投合していたからだ。

 

案の定台湾での撮影が始まると後任のバーストールとオーストラリア側の俳優達とがうまく噛み合わず、おまけに言葉の問題があった。台湾側の俳優やスタッフと滑らかなコミュニケーションが取りにくく、その分時間と経費が嵩んでいったという。おかげでたったの6週間で撮影をすまさなくてはならなくなった。

「気狂い沙汰だよ。カオスだ....」当時の監督のぼやきである。さらにある伝記作者の取材によると、アメリカ俳優のジョン・フィリップ・ローがサラリーや待遇の点ではるかに優遇された事について、メルをはじめとするオーストラリア人達が納得のいかないままだったという。だが明らかにあの当時は「バーバレラ」等のヒットにより、このハンサムな俳優の方が顔を知られていた事は確かなのだ。

それでもなんとか撮り終える事ができたのはメル曰く;「週末になると(台湾人主役の)クーが彼のレストランで信じられないほどおいしい台湾料理をふるまってくれたから」だそうだ。ま、これはジョークだろうが。

 

こういうインサイドストーリーはまったく知らないで私はこれをビデオで見たが、★★というところだ。日本軍が出てくるのはいいんだが、台湾人が演じているせいか日本語が不自然なのが気になる。あとメル指数という観点から見ると、美味しい部分はほとんどローがさらってしまってるのが大いに不満。台湾娘とのロマンスも日本軍との戦いでかっこよく雄々しく死ぬのもメルじゃない! ただしリーダーという役柄を沈着冷静な押さえぎみの演技で通したのには好感が持てた。だがどうも納得いかないのはメル達だけじゃない。私も見ていてなぜメルが主演じゃいけなかったのだろうと首をひねった。オーストラリアの監督でオーストラリア映画なのに....。我々の知らない事情があるんだろう。

 

 

QUOTES
「演技とは直接関係ないゾッとしない話し合いやら面倒ごとをたくさんこなす羽目になったよ。そうまでしてもあの時はこいつをどうにかして作り上げる事が最優先だった。結果的にははっきり言って失敗作だ。
楽しい思い出もある。台湾の人たちと交流できた事。なんとか会話をしたいからあの時に僕はとても優秀なパントマイマーになったんだ」___メル・ギブソン

 

「いろいろあったがメルとの関係は友好的なものだったよ。彼には並みでないカリスマ性があって、私はこう予言した。今後12ヵ月以内に彼がハリウッドにいないならそっちの方が驚きだね」___ティム・バーストール

 

Mel on the COVER

BRAVEHEART

Happy 15th Anniversary

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Variety, USA 1995
Variety, USA 1995

新しい年を迎えた。2010年。皆様におかれてもさらに良き年になりますよう。

日付けは1月2日になってるが、もう3日。1月3日と言えばメル・ギブソンの誕生日。「おめでとう、メル!」のついでに毎年この日に新年のご挨拶をしてる(^^)。

 

メル・ギブソンのファンサイトを運営する私にとっては、今年は楽しみが多い。公開を控えた2本の主演映画、監督するのが決まってるもの1本、春頃開始の主演作1本と久方ぶりに映画人メルがおおいに動く。できるだけ追っていきたいと思うが、また今年はたった4ページから初めた本サイトの10周年、さらにWhat Women Want 「ハート・オブ・ウーマン」のロスアンジェルスプレミアに幸運にも参加でき、幸運にも生身のメルギブソンに会えた記念すべき出来事の10周年も迎える。

10周年?! なんてこと、紀行文はそのうち書きます...などと言いつつ忙しさにかまけ、さぼってたら10年! 最近ひとしお思う。地球の自転が実は密かに速くなってるんじゃないかと....大昔古代マヤ人が予言してたのはこの事じゃないかと。しかし嘆いても仕方ない。自転は停まってくれないだろうし、やることはいっぱい。せめて10周年記念として上記プレミア紀行文でもアップしよう。

 

さて去年の暮れ続けてジャンルは同じ恋愛ドラマになるだろうが、全く毛色の違う2本を観た。ひとつは鑑賞券を得て久しぶりの劇場でロードショウとして、サンドラ・ブロック主演The Proposal「あなたは私の婿になる」を楽しんだ。

S・ブロックは好きな女優の一人だ。いったい美人なのかセクシーなのかよくわからない雰囲気が気に入ってる。コメディでは笑わせてくれるし、筋肉質に近い体つきに見えるがグラマラスなのもいい。

やり手のカナダ人キャリアウーマンがヴィザの更新ができないため、とっさに部下の若い男との偽装結婚を思いつき、彼の実家に行くはめになりドタバタが始まる。大都会シカゴからおおらかなアラスカに行くくだりは傑作。そこに行って部下の実家が土地の素封家でお屋敷のような家を見て驚くブロックの演技も最高。

しばらく見ればもう結末は推して知るべし。アメリカのロマンチック・コメディなら複雑な筋立てなし、不幸な結末なし、スピーディな演技とファニーな台詞、一人か二人の意地悪な妨害役...と約束通りの展開で、それでもブロックのうまいコメディエンヌぶりがおおいに笑いを誘い、ハンサムな相方、ライアン・レイノルズがちょっとすっとぼけた人のいい役回りで、あれよあれよと言う間に二人は本物の恋に陥る。ところでこのレイノルズ、確かにいわゆるイケメンで日本の女の子好みのように感じられたが、残念、私の好みじゃない。40歳くらいになったらどうかな。

安心して座席に身を預けられる映画の典型だ。問題提起や意識を刺激される事もあまりない。単純に楽しむ映画。この手の映画はアメリカならではだろう。アメリカの観客のためのアメリカ的ロマンスもの。以下に書くフランスの恋愛映画なんてきっとアメリカじゃはやらないだろう。

 

1962年フランス/イタリア合作 Le Repos Du Gerriere 「戦士の休息」。すでに別れてはいたが、妻だったブリジット・バルドーを主演に迎えたロジェ・バディム監督作品。同じ恋に陥っていく男女を描いてもこうも違うのかとあらためてフランス映画の妙を見せつけられた思い。この映画は昔一度劇場で見て、BB(ベベ)のふくれっ面の愛らしさにうっとりし、音楽の美しさに魅了されたのを覚えてて、今回ふと思い出しレンタルしたのだが、当時「戦士の休息」(原題通りの訳)と言うタイトルの意味するところが当時よくわからなかった。

偶然に出会った男に惹かれ一緒に暮らし始めるが、この男が何か病理的な暗さを持ち、不実なのだ。フランス映画、特に恋愛ものはアメリカの言ってみればわかりやすく結末まで読めてしまうようなプロットの作りよりも、なぜだかわざわざこちらをイライラさせるような演出や脚本になってる事が多い。実はそういうところも含めてフランス映画が好きなのだが、アメリカ的ストーリー展開に慣れてしまうと、とても不自然に感じられるかもしれない。

しかし実際の男女の心の機微とは単純なものではないし、はたからみれば不自然な行動や言動がつきものだ。この映画もそういう意味では単純でなく自然でない。つまり二人は知ってか知らずか心理的駆け引きをしてるのだ。駆け引きというより戦い。男が勝ってるように見えてその実、最後に笑うのは女。イタリアの廃墟の中で最後にBBにすがりついて愛を乞う男に対し、長い金髪を風になびかせ泰然と微笑むあのラストシーンがまさに戦い終えた戦士の休息なんだろう。つまり休息であってまだ戦いは続く...と匂わせる。男女の心の機微は尽きない。

2つの全く毛色の違う恋愛映画を見終わって、2つともそれなりに楽しめるが、私にとって心に残り、刺激を受け、女主人公になった妄想を楽しめるのは古くても不自然でも「戦士の休息」のようなフランス映画だなとあらためて認識した次第。

 


 

Last updated 10/23,2015

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